企画展「昭和のくらし昭和の風景」に行ってきた。

四日市市立博物館にて市制123周年企画展として開催されている「昭和のくらし昭和の風景」展(R3.1/2~2/28)が本日最終日という事で行ってきた。ちなみに観覧料は400円。

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企画展「昭和のくらし昭和の風景」チラシ

企画展の名前が「昭和」ということもあり幅広いジャンルの展示になっているだろうから収穫としては少ないだろう…と想像していたが、事前情報として旧八王子線のことも展示してあるということも聞いていたので、ひょっとしたら自分が感じてる様々な謎に関して何らかのヒントが得られるかもしれない、と思い少しだけ期待して出かけた。

もともと博物館というものへは一般の方は好き好んで見に来るものではない(失礼…でも自分は好きですよ‼)と個人的に思っていたが、実際来てみたら他の観覧者も自分が想像していたよりも大勢来ていたように思った。で、当時の四日市市内の鉄道(国鉄含む)を紹介するブースには、大きな四日市市街の空撮写真上に合わせ当時の近鉄及び八王子線湯の山線の軌道上に鉄道模型を走らせたり、昭和当時の赤堀駅と旧西日野駅を模したジオラマ(立体模型)に当時走っていた車輛塗装の鉄道模型を走らせたりして展示して雰囲気を出していた。が、駅舎や駅に隣接する商店等の建物までは完全再現されてはおらず(赤堀駅は結構頑張ってはいたが)、結果としては八王子線に雰囲気がよく似ている軽便鉄道が走っている町」ジオラマ展示、という印象であった。そんなことを思うのは僕だけだろうが。

今企画展での個人的な最大の収穫は、会場のモニターで流されていた『夕日のうた』というビデオ映像?であった。八王子線の動く映像に関しては前回の記事にてタイトルを紹介したYoutubeにて公開されている映像『消えたレール』でも見ることはできるが、この映像内には天白川沿いを走る八王子線の電車の様子だけではなく、日永から伊勢八王子間のほぼ往復分の車窓内からの風景までもが撮影されていた。また伊勢八王子駅での機回し作業風景、駅西側の軌道末端に使用されなくなった転車台跡の映像、旧西日野駅の駅ホーム東端(日永寄り)には乗客が近道できるような1枚の板が渡されている(それは乗客管理としてどうなんだ?)などが記録されており、これだけでも観覧しに来た価値があると思える大変貴重な映像作品となっていた。また、映像内に挿入される文章では「バスか鉄道か」廃線問題に揺れる地元民の状況も語られており、その文中にて「(八王子線の)60余年の歴史も・・・」と語られていながら、1979(昭和49)年7月に発生する豪雨水害のことには全く言及も記録もされていない。このことからこの映像の制作時期は1972(昭和47)~73(昭和48)年頃かと思われるが、まさか製作者自身も製作した1年後の豪雨水害が原因で不通・廃線になるなどとは予想だにしなかったのではないだろうか。映像の製作者は椙山 満先生(映像資料の提供者は門脇 篤氏)椙山 満先生四日市の郷土歴史、特に鉄道関係の歴史を語る上では決して外せない第一人者であり、もはや説明不要かと思う。門脇 篤氏も昭和期の四日市の写真を含めた史料内に必ず登場する先達である。彼ら先達の残して下さった貴重な史料・遺産によって僕たちは豊かな妄想をすることができるのだ(笑)。本当にありがたいことだ。

企画展示としては、(当然のことながら)当時の四日市の鉄道のみに焦点を当てたものではなかったため個人的には少々物足りない内容の展示であったことは否めなかったが、足を運んだ甲斐はあったというものでありました。もし可能なのであれば、今度は地元の鉄道の歴史に対しもっと深い内容に踏み込んだ展示があればまた来たいなと思いました(…ただ、そんなコアな内容では見に来る客を限定してしまうことになるでしょうけどね(笑))。

…あ、追記。前回紹介した旧西日野駅の写真、

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こちらの写真、1958(昭和33)年頃のものということでした。(※出典:『むかしのくらし読本4 四日市の昭和の鉄道』(四日市市博物館刊))

次回こそ、西日野駅について書こう。以上(もう2月も終わりか…)  02/28